Netflix『コブラ会』シーズン3あらすじ・ネタバレ感想・キャストなど


ジョニーはカルメンと今後の自分たちの関係について話し合うことを約束する一方で、実家に戻っているアリと再会。昔話に花を咲かせ、ランチを楽しむ。ジョニーが失敗続きの過去を打ち明けると、アリも夫と離婚したことを話す。
ミゲルはミヤギ道の道場でサムとキスしているところをダニエルに見られ、気まずい思いをする。ダニエルから貧しかった高校時代の話を聞かされたミゲルは、サムとともに互いの師を和解させようと考える。
サムは自宅でクリスマスパーティーを開き、ミヤギ道の道場生とイーグル・ファングの道場生を集める。コブラ会に立ち向かうためには協力する必要があると説くミゲルとサム。
ロビーはホークやカイラーたちコブラ会の仲間とともに動物園に忍び込み、ヘビを盗み出すことに成功する。ロビーの勇気を褒めるクリーズ。トリーはミゲルとサムが一緒に行動していると聞いてショックを受ける。
ジョニーとアリは懐かしい〈ゴルフン・スタッフ〉でデートをし、盛り上がる。アリに誘われてクリスマスパーティーに出席したジョニーは、そこでアリと楽しそうに話すダニエルを見つける。


「コブラ会」シーズン3の最新予告編が公開 『ベスト・キッド2』のオリジナルキャストの姿も ..

ジョニー、ダニエル、クリーズはそれぞれの方針で弟子を鍛える。ロビーが出所する日、ジョニーとダニエルは少年院へ迎えに行くが、2人を見たロビーは「俺に関わらないでくれ」と告げて立ち去る。
乱闘事件を受けて、今年のオールバレー大会は中止になる。ジョニーとダニエルは決定を受け入れるが、子供たちは大会に出たいと訴える。2人は公聴会に出席して市議会を説得しようとするが、その場にはクリーズの姿もあった。
公聴会の席で言い争う3人を見て、市議会はますます空手大会に不信感を募らせる。しかしミゲルとサムの心からの訴えを聞いて態度を軟化させ、大会開催を許可する。
行くあてがないロビーはミヤギ道の道場を訪れ、サムとミゲルが仲良くしているのを見てショックを受ける。そのままコブラ会の道場へ向かうロビー。
ジョニーはカルメンと一夜をともに過ごす。

ミゲルはジョニーとの特訓でもとどおりに歩けるようになり、久しぶりに登校する。学校でホークたちコブラ会の仲間をジョニーの新しい道場に誘うが、彼らはクリーズに洗脳されてしまっていた。
ダニエルとアマンダはコブラ会から子供たちを守るため、ミヤギ道を再開することを決める。だがトラウマに苦しむサムは「もう空手はやりたくない」と言い張る。
ダニエルはサムを空手の大会が行われた会場に連れて行き、かつて自分も恐怖に負けそうになったことがあると話して聞かせる。ミヤギに言われたように、「倒れたときは自分自身で立ち上がるしかない」と教えるダニエル。サムは再び空手に取り組むようになる。
ジョニーは公園で新しい道場〈イーグル・ファング空手〉を始める。そこへクリーズと弟子たちが現れ、ジョニーをコブラ会に引き戻そうとする。ジョニーはきっぱり断るが、クリーズは「いずれ必ず後悔する」と告げる。

『ベスト・キッド』のキャストが続役で出演 · クミコ(タムリン・トミタ)

1968年、若きジョン・クリーズはベトナムで特別部隊に抜擢され、唐手道を学ぶ機会を得る。
帰国したダニエルはアマンダから話を聞き、一緒に警察へ行くことに。だがクリーズは先手を打ち、アマンダに接近禁止令を出していた。
クリーズはコブラ会強化のため、カイラーたちをスカウト。弟子たちと対戦させ、負けた方を辞めさせる。ホークはかつて自分をいじめた相手に報復する。
トリーは街で偶然ミゲルと再会し、必ずミヤギ道に仕返しすると意気込むが、ミゲルが報復を望んでいないことを知って決裂する。
ミゲルはコブラ会から逃げたジョニーを非難する。自力で立てるようになったミゲルを見たジョニーは、もう一度子供たちと向き合うことを決意する。
ダニエルとアマンダはコブラ会に場所を貸している大家のアーマンドを取り込み、コブラ会を追い出そうと画策。アーマンドはクリーズに強制退去を命じるが、反撃されて言いなりになってしまう。クリーズはダニエルに宣戦布告し、店にヘビを持ち込む。

ダニエルはパーティーでアリと再会。ジョニーとアマンダも加わり、昔話で盛り上がる。
サムとミゲルに説得され、ミヤギ道とイーグル・ファングの道場生は協力することを決める。そこへコブラ会の連中が現れ、たちまち乱闘になる。戦いのさなか、コブラ会に疑念を抱いたホークはこれまでのことをディミトリに謝罪し、ともにコブラ会に立ち向かうことに。ミゲルはカイラーを倒し、以前のカンを取り戻す。サムはトラウマを克服し、トリーと対峙する。
ジョニーはアリに別れを告げ、カルメンに愛を告げようと部屋を訪ねるが、そこには傷ついて顔を腫らしたミゲルがいた。
ジョニーがコブラ会に乗り込むと、クリーズとともに稽古に励むロビーがいた。クリーズに戦いを挑むジョニーだったが、ロビーに阻まれる。ジョニーはクリーズに首を絞められ殺されそうになるが、かけつけたダニエルに救われる。
ダニエルはミヤギ道の秘技を使い、クリーズを無力化させる。クリーズは昔のように大会でケリをつけようと提案。ジョニーとダニエルは受けて立つ。後日、ミヤギ道の道場に集まるイーグル・ファングとミヤギ道の弟子たち。そしてジョニーとダニエルもともに稽古に臨む。
クリーズはベトナムで捕虜になったとき、ともに逃げ出した戦友テリー・シルバーに電話する。

SNSでのやりとりのコツをジョニーに教えるミゲル。クリーズが新弟子を勧誘する一方で、ダニエルとアマンダはコブラ会を閉鎖しようと手を尽くす。

チョーゼンはダニエルを道場に連れて行き、ミヤギ道に伝わる“敵を殺すための秘密の技”を披露する。その技を受けると手足が痺れて動けなくなり、戦うことができなくなるのだ。ダニエルはチョーゼンに教えを請い、技を習得する。
ジョニーは車椅子のミゲルをライブコンサートに連れて行き、存分に楽しませる。やがてミゲルは音楽に合わせて足でリズムを刻んでいることに気づく。
ダニエルはかつて自分が救った少女ユナと再会。ユナは〈ドヨナ〉の営業部門で専務取締役になっていた。ダニエルのために力になりたいというユナ。
サムはミヤギ道の仲間クリスがバイト先でホークたちから嫌がらせを受けていると連絡を受け、クリスの職場へ向かう。コブラ会の面々と乱闘になり、トリーとも再会。乱闘事件のフラッシュバックに襲われたサムは動けなくなり、ホークに襲われるディミトリを助けることができず、ディミトリは腕を折られてしまう。
サムから話を聞いたアマンダはコブラ道の道場を訪ね、クリーズに「やめさせないなら警察に行く」と忠告する。クリーズの異常性に気づいたアマンダは、この道場は絶対に閉めさせると宣言する。
ジョニーはミゲルのトレーニング方法を考えるため、再びパソコンに挑戦することに。Facebookを開いたジョニーは、高校時代の恋人アリから友達申請が届いていることに気づく。

そう言えばダニエルの娘サマンサ役の女の子が映画1作目のアリと雰囲気がとてもよく似ている!これは意図的に似せているような気がする。アリとサマンサが初めて出会って「昔の私を思い出すわ」なんて言うシーンが今後あるかも。

「ベスト・キッド」シリーズのその後を描き、これまで5シーズン・50エピソードにわたって濃密な人間ドラマが繰り広げられてきた「コブラ会」。

ダニエルは〈ドヨナ〉の会議に出席し、契約打ち切りを回避すべく交渉するが、決定事項は変えられないと言われてしまう。意気消沈するダニエルは、師匠ミヤギの故郷・沖縄へ足を伸ばす。だがかつて訪れたトミ村はすっかり様変わりし、モダンな街になっていた。
ジョニーはロビーとの関係を修復しようとするが、自分よりもミゲルを優先したと知ったロビーは態度を硬化させてしまう。再び酒に逃げるジョニーだったが、クリーズがミゲルに近づこうとしていることを知り、ミゲルに会いにいく。もう二度と歩けないと泣き言を言うミゲルを叱り飛ばし、「俺はずっとお前のそばにいる。永遠にお前の先生だ」と告げるジョニー。
学校でのコブラ会とミヤギ道の対立は激化し、サムはサッカーの試合でコブラ会への逆襲を試みる。だがミヤギ道の道場生のみが校長から注意を受け、不満を募らせる。
沖縄でクミコと再会したダニエルは、彼女が保管していたミヤギの手紙を読み、師の知られざる思いに触れる。クミコに「きっとうまくいく」と励まされるダニエルの前に、かつて闘った相手チョーゼンが現れる。

ダニエルの店の業績は悪化し、ライバル会社のトム・コールから店を買い取りたいと持ちかけられる。コールは日本の大手メーカー〈ドヨナ〉と独占契約し、ダニエルとの契約を打ち切るよう手を回していた。
ジョニーは高校時代の友人で牧師をしているボビーに会う。ボビーは「結果がどうあろうと子供たちのそばにいるべきだ」と助言し、ロビーとの面会に立ち合うことを約束する。
ミゲルは手術の日取りが決まるが、成功の保証がないことや、手術費用を借金しなければならないことに不安を感じていた。サムは手術費用を稼ぐため、ミヤギ道のメンバーたちと洗車のボランティアをして募金を集める。
ジョニーは就職活動がうまくいかず、継父シドに金を無心しにいくが口論になってしまう。そこでシドの屋敷の彫刻を密かに持ち帰り、質屋に売ってミゲルの手術代を用立てる。病院に金を届けたジョニーは、ミゲルの祖母に一緒にいてほしいと頼まれ、手術を見守ることに。だがその日はロビーとの面会日で、ジョニーを待っていたロビーは裏切られたと思い込んでしまう。
ホークはサムたちが洗車で稼いだ金を奪い、ミヤギ道の仲間を痛めつける。コブラ道のやり方に怒りを募らせるサムは、ダニエルに内緒で仲間たちと空手の稽古を始める。
ダニエルはコールの申し出を断り、〈ドヨナ〉と交渉するため東京を訪れる。


さらなる勢力拡大を目論み新生コブラ会を率いるテリー。窮地に陥ったダニエルは旧友で同じミヤギ道のチョーゼンを沖縄から助けを求める。


神経質で口達者なオタク。ミゲルとホークの友達だったが、〈ミヤギ道〉に入門して敵対することに。乱闘事件の後も〈コブラ会〉と対立し、校内でたびたび揉め事を起こす。パリから戻ってきたヤスミンと仲良くなる。

21984年に大ヒットしたベストキッドに続く、沖縄を舞台にした1986年公開の第二作です。ちょうどキャスト ..


サマンサの友達。“金持ち組”のひとりで、ミゲルたちを“負け犬”と呼んで見下していたが、シーズン1で〈コブラ会〉に恥ずかしい目に遭わされてパリへ留学した。シーズン3では毛嫌いしていたディミトリといい雰囲気に。

ベスト・キッドの続編“コブラ会”をビデオゲーム化する「Cobra Kai

シーズン1と2は、かつて『ベスト・キッド』に夢中になったファンにとって魅力的な作品だったが、今回公開されたシーズン3は、”3作目は駄作”というジンクスを地で行くような続編となってしまった。

※文中ネタバレを含む箇所があります。

『ベスト・キッド』シリーズは、3作目で本格的に進むべき道を見失ってしまった。ダニエル・ラルーソ(演:ラルフ・マッチオ)といういじめられっ子のティーンエイジャーがミスター・ミヤギ(演:パット・モリタ)という頼れる老賢人のもとで空手を学ぶというストーリーの1984年の映画『ベスト・キッド』は、負け犬の奮闘を描いた名作・スポーツ映画/成長物語だ。続編『ベスト・キッド2』(1986)はいささかやりすぎだったかもしれないが、舞台を沖縄に移してミヤギのパーソナルな面を重視するストーリーにすることで変化をもたらした(それに続編のサントラに収録されているピーター・セテラの「Glory of Love」はいま聴いてもシビれる)。

しかしながら『コブラ会』シーズン3は、”3作目は駄作”というジンクスを地で行くような続編だ。同作のストーリーは、コブラ会の創始者ジョン・クリーズ(演:マーティン・コーヴ)の中途半端な復讐を中心に展開する。クリーズは、『ベスト・キッド』の終盤で愛弟子のジョニー・ロレンス(演:ウィリアム・ザブカ)がダニエルに敗れたことをいまも根に持っているのだ。同作のクリーズは、かつてのように卑劣だが共感できるところもあるアンチ・ミヤギ的な人間味ある悪役ではなく、行きすぎたレベルのソシオパスとして描かれていて、空手道場のメンツを潰したダニエルとミヤギに対する仕返し以外は何も考えていないようだ。その一方、ダニエルは護身を説くミヤギ道からコブラ会流の危険な考え方へとシフトするのだが、その理由は、まったくもって理解不能。同作は、多くの点で駄作といえるが、ダニエル・ラルーソというおなじみのキャラクターが毎年お決まりのように危機にさらされ続ける姿は、馬鹿らしささえ感じさせる。

ダニエルとジョニーは、YouTube Premiumのオリジナルドラマシリーズ『コブラ会』(*註:1)で2018年にカムバックを果たした。同作では、ふたりの立場は巧みにも入れ替わっていた。だが、『コブラ会』シーズン3でどん底の日々を送っているのはジョニー(それでもミヤギ同様、便利屋として働いている)のほうで、彼はミゲル(演:ショロ・マリデュエニャ)という同じ建物で暮らす少年に空手を教えている。ミゲルは、若い頃のダニエルによく似ている。対するダニエルは名声と富を手に入れ、どういうわけかジョニーの息子のロビー(演:タナー・ブキャナン)と自分の娘のサム(メアリー・マウサー)に空手を教えることになる。『コブラ会』シーズン1はちょっとした奇跡だった。映画『ベスト・キッド』の要素を巧みにミックス&マッチさせて大胆なまでにノスタルジックだったシーズン1は、新しさという要素はなかったかもしれないが、数十年ぶりにあの時代を生きているような気分を味わわせてくれた。

(*註:1)読者は、この頃すでに『コブラ会』とYouTube Premiumが存在していたことを知らないだろう。その後、YouTubeはオリジナルドラマ事業から撤退し、『コブラ会』のシーズン1と2は最終的にNetflixの手に渡った。Netflixユーザーは新シリーズとして『コブラ会』のシーズン1と2を歓迎した。2021年1月1日に配信されたシーズン3は、Netflix初の『コブラ会』シリーズである。


どういうわけか『コブラ会』シーズン2は、『ベスト・キッド2』ではなく『ベスト・キッド3 最後の挑戦』(1989)をモデルとして採用した。シーズン2では、亡霊のようによみがえったクリーズがジョニーのもとからコブラ会を奪い、ミゲルをはじめとする弟子たちに危険人物に変えてしまう。シーズン2の随所には魅力的な場面が散りばめられていて、とりわけダニエルの出番が増えるにつれ(シーズン1では脇役)、オーディエンスはいつまでも若々しいマッチオの無限の魅力を目の当たりにする。だが、シリーズ1では少なくとも半分はコメディでもう半分は真面目だったクリーズの行きすぎた悪役のせいで、シリーズ2の全体的なバランスは崩れてしまった。子どもたちの高校が舞台のクライマックスの長たらしい大乱闘の結果、サムは傷を負い、ミゲルは下半身麻痺状態になり、ロビーは逃走する。馬鹿らしくならない程度にこの手のストーリーを進めていくのは簡単ではないが、シーズン2が何気ないコミカルさを拠りどころとする一方、シーズン1でザブカが見せた意図的なユーモアはほぼ駆逐されていた。



『コブラ会』シーズン3のいくつかのエピソードでは、ダニエルが沖縄を訪れている。そこで『ベスト・キッド2』で彼が惹かれるヒロインのクミコ(演:タムリン・トミタ)やライバルのチョウゼン(演:ユウジ・オクモト)が再登場するのだ。これらは新シーズン屈指の名シーンであり、その中でもダニエルとクミコがいまは亡きミヤギ大先生のことを思い出しながら、1984年に初めて会ったときの先生と同じ年齢になったことに気づく場面は秀逸だ。沖縄のシーンは、劇中で終始辛い目にあっているダニエルにとってはエモーショナルな中休みだが、徹頭徹尾『ベスト・キッド3』を彷彿とさせる同作の試金石的な物語というよりは、幕間の色合いが強い。

シリーズ3は、大乱闘の数週間後から幕を開ける。ミゲルは入院中で、ロビーは行方不明。サムは、トリー(演:ペイトン・リスト)との乱闘による心的外傷ストレス障害が原因のフラッシュバックに苦しんでいる。ジョニーは、ミゲルの大怪我の原因を作ったと自分を責め、学校はすべての武術を禁止した。乱闘の責任をほぼ全面的に引き受けるダニエルは、学校の教育委員会の会議で「この件を空手版『フットルース』的な事件にする必要はない」と主張する。

その一方、クリーズは何かを企みながら、まだ周囲をうろついていている……。だが、彼のエンドゲームが何であるかははっきりしておらず、サディズム以外の何かに興味があるかどうかもわからない。クリーズは弟子を追い出しては新しい弟子を引き入れ、ミゲルの親友の元オタクでコブラ会屈指の冷血漢であるホーク(演:ジェイコブ・バートランド)でさえ、この狂気じみた男のそばにいることに疑問を抱く。いくつかのエピソードでは、ベトナム戦争時代(*註:2)のクリーズの回想シーンがフィーチャーされており、そこでこのような人間になった理由と彼の動機を説明しようとしている。だが、こうした回想シーンは笑えるくらい場違いな印象を与えるし、まるで『天才マックスの世界』(1998)の風変わりな主人公マックス・フィッシャーが突然プロデューサーになったかと思うほど唐突だ。

(*註:2) この点は、『ベスト・キッド3』の主な悪役である極悪社長テリー・シルバーのオリジンストーリーと重なる。『ベスト・キッド3』の良いところは、彼について多くを語らなかった点だ。クリーズの司令官役を演じているのはテリー・セルピコという俳優で、マッチオとともに80年代のティーンエイジャー向け映画で人気を博したアンソニー・マイケル・ホールに不気味なくらい似ている。そのため、X世代のノスタルジーに訴えかける同作にセルピコを起用するのは紛らわしいように思える。というのも、ベトナム戦争のシーンがクリーズとFarmer Ted(訳注:牧場をテーマにしたイギリスのアミューズメント施設)の架空のコラボの予告編であるような印象を与えるからだ。


回想シーンはさておき、シーズン3にはウケ狙いではないのに笑えるアクションシーンがいくつかある。ロビーを探す一方、ジョニーとダニエルはカーチェイスに巻き込まれるだけでなく、盗んだ車の部品を売る店で数名のごろつき相手に闘うはめになるのだが、ここで同作はマッチオのためにスタントマンを手配している(長年の共演者と比べて空手の真似事はザブカのほうが一枚上手だった。スタントマンを起用したシーズン後半のマーティン・コーヴや子役たちのシーンにも同様に不自然な点があり、互角であるはずのキャラクターがさまざまな武術を披露していた)。


『コブラ会』でトリー役を演じたペイトン・リストとイーライ/ホーク役を演じたジェイコブ・バートランド(写真左から)(Photo by BOB MAHONEY/NETFLIX)

同作をコメディにしようという取り組みはほとんど皆無だったが、ジョニーは負傷したミゲル相手に型破りで笑える治療法をいくつか試し、ハイスクール時代の元カノのアリ(『ベスト・キッド』のエリザベス・シューの演技が印象的)(とダニエル)をあっと言わせたいがためにFacebookの使い方をマスターしようと奮闘する。主にシリアスなジャンルへのシフトは、功罪相半ばする結果となった。沖縄のシーンでは、ダニエルとジョニーの心の葛藤と後悔が効果的に描かれている。だがクリーズは漫画から出てきたような人物で、共演した子役たちの多くはひと言しかセリフを与えられていない(なかには、他の子役よりも説得力のある演技を披露した子役もいた。特にジェイコブ・バートランドは、脚本家のどんな指示にも柔軟に応じられる印象を与えるため、今回の演技には物足りなさを感じた)。キャラクターにとって必要だからというよりは、ストーリーの必然性によってキャラクターが何に忠誠を誓うかがコロコロと変わり続ける。複数のティーンエイジャーが登場する、撮影とコレオグラフィーが見事なバトルシーンがシーズンの後半で登場するのだが、まるで犯罪行為といった要素が多すぎて、どうして誰も警察を呼ばないのだろう? とツッコみたくなってしまう(空手の乱闘が招く結果を長々と描いてきた同作だから、なおさらそう感じてしまう)。

続編というものは、常に前作のプレッシャーにさらされている。クライマックスでダニエルとチョウゼンが決闘を繰り広げる『ベスト・キッド2』もそうだった(ネタバレ注意:ダニエルはチョウゼンにとどめを刺す代わりに鼻をつまんだ)。だが道場同士のライバル関係は、魅力的な伝説という領域を超え、ただただ馬鹿らしいものになってしまったのだ。これは、長きにわたってライバルたちを描いてきた同作を続けるうえでの危機でもある。

しかしながら、ジョニーとダニエルのストーリーに深みが増したのは当然のことだ。彼らはキャリアを積み、役者としての味わいも増した。オーディエンスと制作陣からの投資額も増えた(シーズン3でもっとも印象的なシーンは、長い会話を通じてミゲルとダニエルが互いの共通点の多さに気づくシーンだが、これは私たちが長年観てきた過去の映画のおかげで期待された効果を発揮している)。だからといって、馬鹿馬鹿しさだけが増すシリーズを続けることはできない。劇中でジョニーの旧友は次のように言う。「たまには、過去を振り返って自分がいまいる場所を確かめるのは良いことだ。でも、過去を生きることはできない」。シリーズ開始当初、『コブラ会』は過去と現在の両方を巧みに生きてきた。残念ながら、それはもはや叶わない。



ベスト・キッドから30年、Netflixドラマ「コブラ会」が熱い!


シーズン2で〈コブラ会〉に入会した道場生。乱闘事件を起こした張本人で、高校を退学になり保護観察処分となった。病気の母と幼い弟を養うためバイトをかけもちしているが、家賃を滞納し退去を迫られる。恋人のミゲルのためにミヤギ道に復讐しようとする。

画像は動画「『コブラ会』シーズン3 予告編 - Netflix」から - KAI-YOU.

このページは、に所属するが、独自に定めたに基づき制作・配信しています。 KAI-YOUでは、文芸、アニメや漫画、YouTuberやVTuber、音楽や映像、イラストやアート、ゲーム、ヒップホップ、テクノロジーなどに関する最新ニュースを毎日更新しています。様々なジャンルを横断するポップカルチャーに関するインタビューやコラム、レポートといったコンテンツをお届けします。

『ベスト・キッド』ファンの期待を裏切らないクオリティ 『コブラ会』が傑作たる3つの理由 ..


旧コブラ会の道場主。ジョニーに空手を教えた“先生”。若い頃ベトナム戦争に従軍した退役軍人でもある。シーズン2で再びジョニーの前に現れ、道場を乗っ取る。軍隊仕込みのなりふりかまわぬ攻撃的な空手で道場生を洗脳していく。

“ベスト・キッド”の30年後を描くドラマ『コブラ会』は懐かしすぎる!

かつて梶原一騎原作、つのだじろう作画の名著『空手バカ一代』にて、極真空手創始者の大山倍達は、山籠りの最中に人恋しさに襲われる。人里に降りて、女性と触れ合いたい――そんな願望を絶つべく、大山倍達は自ら片眉を剃り落とした。そして片眉のない珍妙な自分の顔を見て「これでもう人里にはおりられん! 女どもが相手をするものかあ! バカの顔だっ!!」と孤独を笑い飛ばしのである。『コブラ会』の登場人物にも、こうした大山倍達ほどの空手バカっぷりがあったなら、色恋沙汰を断ち切り1人ストイックに修行を続ける強さがあれば――という、ちょっとした歯がゆさを感じるのも事実だ。